AJランプ - 控えめなランプ

引き算で考えるモダンな空間の中では、スタンドランプやデスクランプもアートや家具と同様、重要なエレメントです。公共の空間であればシンプルで緊張感のあるデザインのランプでも良いのですが、居住空間にはシンプルでも温かみのあるデザインが必要です。

その辺りの加減が良いのが「AJランプ」です。円筒と円錐を組み合わせただけのシンプルなフォルムながら、どんな角度から見てもチャーミングなランプです。デザイナーのアルネ・ヤコブセンがコペンハーゲンの「SASロイヤルホテル」の為にデザインしたランプです。1959年の発表以降、多くの建築家に支持され世界中の建物の中で見る事ができます。
多くのランプが昼間は気まずそうな佇まいであるのに、AJランプは、昼間は控えめなオブジェとしてインテリアに溶け込みます。明かりをともした時、明かりをともしてない時も良いランプはそう多くはないと思います。シンプルなデザインながら緯度が高い北欧で長い冬を快適に暮らすための拘りを感じるランプです。

海外の方のお宅におもてなしを受けると、やや暗めにコントロールされたお部屋に、絵や小物に照明を当て、スタンドランプでコーナーに明かり溜りを作り、そして窓辺にキャンドルをともして出迎えていただくことがあります。お部屋のどの位置にどんな明かりが必要で、そして必要なところにコンセントが配されている。簡単なようで日本では難しい事です。

現在、都会のマンションでの暮らしは、天井に直付けの大きなランプや、規則的に配列されたダウンライトで、ただ明るいだけの空間で暮らす事を甘受させられます。そんなカリカリした天井照明が造る空間では疲れた身体を癒す事は出来ないですね。

Timeless Livingでは、我家に帰ってほっとする明かり、おいしく食事のできる明かり、リラックスして読書する明かり、好きなアートを照らす明かり、暮らしの中のすべての明かりの場所と高さ、明かりの色、形などをデザイナーが小さな気遣いをしながら一つ一つレイアウトをしています。外を通る人が微笑むような窓辺の明かりのあるお部屋を作って行きたいと思っています。

Designer : Arne Jacobsen 1959 louis poulsen Denmark